【Jawaani Jaaneman】

監督:ニティン・カッカル Nitin Kakkar
出演:サイフ・アリー・カーン、アラーヤー・ファーニチュアワーラー、タッブー

2020年1月31日公開

トレイラー

ストーリー
************************************
ロンドンに住む「ジャズ」ことジャスヴィンデル(サイフ・アリー・カーン)は家族経営の不動産業者で働きつつ、もう40歳になるにもかかわらず独身生活を謳歌している。そんなジャズの前に突如現れた若い女性ティア(アラーヤー・ファルニチャルワーラー)は「33.3%の確率」で自分はジャズの娘だと主張する。ティアはジャズが昔関係を持ったアナニヤー(タッブー)の娘だった。突然の「娘からもしれない」女性の出現に焦るジャズは「自分の娘とは限らない」と突っぱねるが、結局DNA検査を受けることに。果たして結果は?
***********************************

サイフ・アリー・カーン主演の限りなくラブコメに限りなく近いコメディ・ドラマ。ふつうのラブコメではないのは主人公サイフ自身の恋愛はサブストーリーになっているためで、メインは中年の遊び人と娘を名乗る若い女性の「親子」ストーリーです。

監督はニティン・カッカル。隠れた名作【Filmistaan】(2012)(『映画の国』)、タイ映画のリメイクでこれも地味ながらよく出来た作品だった【Notebook】(2019)と、人情味あふれる質の高いドラマを作る優れた監督です。

サイフの共演は本作がデビューのアラーヤー・ファルニチャルワーラー。名前については後述するとして、女優プージャー・ベーディーの娘、つまりカビール・ベーディーの孫です。また、タッブーが特別出演(といってもかなりの大役)しています。

タイトル「Jawaani Jaaneman」は「若い恋人」の意。アミターブ・バッチャン主演【Namak Halaal】(1982)にアーシャー・ボースレーが歌う同名の挿入歌があります。

サイフ・アリー・カーンは悪役を含め(最近では【Tanhaji】(2020))幅広い役柄をこなす万能俳優ですが、確実に得意な役柄にチャラ男(ときに遊び人属性が加わる)があります。【Kal Ho Naa Ho】(2003)、【Hum Tum】(2004)、【Salaam Namaste】(2005)、【Cocktail】(2012)、【Happy Ending】(2014)など数多くありますが、最近は少なくなって【Chef】(2017)くらいでしょうか。それが【Jawaani Jaaneman】ではかなり歳は食ってますが完全無欠のチャラ男。それが作中での恋愛を経て目覚めるのはボリウッド・ラブコメの、そして特にサイフにとってはおあつらえ向きの王道ストーリーなのですが、本作はそれが恋愛相手ではなく「娘?」の登場という変則版です。

「娘?」ながら本作のヒロインであるアラーヤー・ファルニチャルワーラーは好演でした。まずは非常にキュートでタイトルの「若い恋人」にぴったりです。また、父かもしれない男性に初めて会うのに物怖じしないちょっと不思議ちゃんなところと、自分の妊娠や親しくなった老女との約束などで見せる一途なところとを合わせ持つ魅力的なキャラクターになっていました。

ストーリーも「娘?」の登場でうろたえるチャラ男に、少し後には「娘?」の母であるタッブー演じる超変人の女性や同じく変人のティアの恋人が登場し、コメディが進んで行きます。同時に、主人公が仕事として進めるある土地の買収に関するエピソードがドラマとして展開し、最後にはそれが合わさって結末を迎えるという作りは、サイフ出演作を含めた2000年代ボリウッドの秀作ラブコメの手法を見事に踏襲しています。

一昔前のラブコメ風を楽しむのも良し、サイフの齢の取り方を見るのも良し、フレッシュなアラーヤーに注目するも良し、いろいろな楽しみ方ができる作品です。

音楽
「Ole Ole 2.0」

サイフが自分の代表曲をセルフ・カバー。

もとはこれ。サイフ、さすがに若い。
【Yeh Dillagi】(1994)から「Ole Ole」

 

「Bandhu Tu Mera」

「Gallan Kardi」

 

サイフ・アリー・カーン  ジャスヴィンデル「ジャズ」シン役
序盤の遊び人での暴れっぷりも良ければ、後半の迷いっぷり、悩みっぷりもいいです。ネットフリックス『聖なるゲーム』(Secred Games)の真面目警官、【Tanhaji】(2020)の悪役に続いての本作。スターがようやくスランプを脱して調子を取り戻したようです。

 

アラーヤー・ファルニチャルワーラー  ティア役
カビール・ベーディーの孫、プージャー・べーディーの娘で本名はアーリヤー・ファルニチャルワーラー(苗字は父の姓)。本人によるとベーディー姓を名乗ることは考えなかったし、名前はアーリヤー・バットと被るのを避けるために変えたのだそうです。デビューで妊婦を演じる女優は少ないと思いますが好演でした。今後も楽しみです。

 

タッブー  アナニヤー役
特別出演ということですが存在感は抜群。元ヒッピーで現在もスピリチュアル系の変わり者ぶりは、チャラい遊び人サイフを凌駕します。

 

 

 

 

『聖なるゲーム』で印象的なクックー役のクブラー・サイトが主人公と微妙な距離にある女性の役でこちらも良かったです。

本作でアラーヤー演じるティアの職業はオランダ語と英語もしくはヒンディー語の翻訳家。インド映画では意外と珍しいような気がしますがどうでしょう。

【Jawaani Jaaneman】
サイフはやっぱりチャラ男じゃなきゃという人、ファルニチャルワーラー(家具屋)という名前も本人もどっちも気になる人、またまた強烈なタッブーを見たい人、おすすめです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です