【Street Dancer 3D】

監督:レモ・デスーザ Remo Dsouza
出演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァ、アパールシャクティ・クラーナー、ノーラー・ファテーヒー

2020年1月24日公開

トレイラー

ストーリー
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サーヘジ(ヴァルン・ダワン)はロンドンに住むインドからの移民で他のインド人たちとダンス・チーム「ストリート・ダンサー」を結成して活動している。一方、同じ地区に住むイナーヤト(シュラッダー・カプール)はパキスタン移民のダンス・チーム「ルール・ブレイカーズ」に所属しているが、両グループはなにかと反目し合っている。

両グループともストリート・ダンス・コンテスト「グラウンド・ゼロ」への参加を決めるが、サーヘジは恋人のミア(ノーラー・ファテーヒー)が所属する名門チーム、ロイヤルズにからの誘いを受けて「ストリート・ダンサー」を離れる。「ストリート・ダンサー」はバラバラになった状態でコンテストを迎えるが・・・
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タイトルは違いますが、ダンス映画のヒット・シリーズ【ABCD】の最新作の位置付け。【ABCD: Any Body Can Dance】(2013)、【ABCD 2】(2015)に続く第3作になるはず(おそらくタイトルは【ABCD 3】)でしたが、1、2作目を制作したウォルト・ディズニーがインドでの映画製作制作事業から撤退したため、タイトルが変更されました。しかし、監督は2作目に引き続きコレオグラファーのレモ・デスーザ。また、主演のヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァやダンス・チームのメンバーなどはすべて2作目から連続出演です。

主役以外は(1作目は主役も)全員ダンサーということからもわかるように、完全にダンスが主でストーリーは従といった感じのダンス映画シリーズですが、3作目の本作はダンスとストーリーが主従逆転とまでは行かなくとも、ダンスだけではないと言える程度には考えられたストーリーでした。

3作目で特徴的なのは、舞台をムンバイ(2作目はアメリカに旅行)からロンドンに移し、出演者をインド移民とパキスタン移民の2つに分けたことです。そして最後にはインドとパキスタンが協力してダンス大会に挑むという構図ですが、現実世界でインドとパキスタンの関係がこれだけ悪化している中ではそれだけで大胆な設定です。

もう1つは移民問題を直接扱うサブ・ストーリーが効いています。アパールシャクティ・クラーナー演じるインド移民がサブ・ストーリーの中心で非常に印象深い役でした。そしてサブ・ストーリーが最後にメイン・ストーリーと合流するところは見事でした。

もちろんダンス映画なのでダンス・シーンは見応え十分。前作と比べても、1) 「俳優枠」のヴァルン、シュラッダーのダンスが上達している、2) いまのボリウッドのダンス・クイーン、ノーラー・ファテーヒーが参加、3) プラブデーヴァーががっつり踊るということで明らかにパワーアップしています。

シリーズになると思われていなかった1作目のニッチな作りから、次第にメジャー路線へと進化してきました。ただのダンス映画と侮ると損をする快作でした。

音楽
「Bezubaan」のようにシリーズのタイトルソングのような曲は別にして、多数ある曲のほとんどが何かのリメイクというのは問題ではないでしょうか。「Muqabla」は出演者プラブデーヴァの出演作、タミル映画【Kadhalan】(1994)から同名曲のリメイク。「Lagdi Lahore」は人気歌手グル・ランダワーの大ヒット曲「Lahore」のリメイク。「Illegal Weapon 2.0」はタイトルからもわかるようにパンジャービー・ソングからのリメイクです。制作が音楽ブランド「T-シリーズ」だからというのがあるとは思いますが、このリメイク流行りはインドの音楽関係者からも批判が出ています。

「Muqabla」

元はA.R.ラフマーンの作曲。

「Illegal Weapon 2.0」

「Bezubaan Kab Se」

シリーズ1作目からあるシリーズのテーマソング的な曲。実はこの曲には雨が欠かせないのですが、3作目は屋内でのダンス。どうして雨が降っているのでしょうか?

 

ヴァルン・ダワン  サーヘジ役
本作でのヴァルン・ダワンのキャラクターはあまり魅力がないのですが(前作でもさほど)、ダンスはすごいです。よくここまでトレーニングを積んだと感心しました。

 

 

 

シュラッダー・カプール  イナーヤト役
前作では「シュラッダーって踊れるんだ」となりましたが、本作ではさらにパワーアップ。キャラクターとしてもサブストーリーである移民の問題にいち早く関わったりと中身のある役でした。

 

 

 

プラブデーヴァ  ラーム役
誰もが認める名ダンサーのプラブデーヴァですが、1、2作目では若いダンサーたちの先生で、自らはあまり踊りませんでした(1曲程度)。しかし、本作では主演のチームに参加して踊るなどある意味で反則。アクロバティックなところでは若い人には敵いませんが、それでも見せるダンスとしては格が違いました。

 

ノーラー・ファテーヒー  ミア役
アイテム・ソングでダンス・クイーンにのし上がり、とうとうダンス映画に出演するというノーラーは、彼女自身がダンス映画の主人公のようです。ただし、本作での役はタイプ・キャストに近いものであまり良くありませんでした。

 

 

アパールシャクティ・クラーナー  アムリンデル役
すでに名脇役俳優になりつつあるアパールシャクティですが、本作では主役といってもいいかもしれません。エンディングでは完全に主役待遇でした。

 

 

 

【Street Dancer 3D】、おそらく続編が作られるのは間違いないでしょう。しかし、そのときに困るのはタイトル。果たして「4」を入れるのか、「2」にするのか。

【Street Dancer 3D】
プラブデーヴァの踊り全開を観たい人、室内に雨を降らせる力業を見たい人、アーパルシャクティの最強脇役を見たい人、おすすめです。

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