観たい!2020年4月編

インドにおける新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)実施中のため、

今月の公開予定作品は0本。

Bollywoodhungamaのカレンダーでも4月中の公開作の記載はありません。
http://www.bollywoodhungama.com/movie-release-dates/

10年以上このコーナーやってますが、公開予定0本はさすがに初めてです。

 

上記、「エイプリル・フールでした!」とやれたらどんなに良かったか。「観たい!」のタイトルがこんなに似合う月もありません。

現在のところロックダウンの期間は4月14までですが、延長される可能性もあり、またロックダウンが終わってもすぐに劇場オープンというわけにはいかないと思います。そのため劇場で映画が見られるのはまだまだ先になりそうです。

とはいえ現在のコロナ禍が過ぎ去り、晴れて劇場再開となった暁には、延期されてきた大作の公開ラッシュで待ちわびていた観客が劇場に押し寄せ、大ヒット連発になるかもしれません。ぜひ、そうなってもらいたいものです。それまではインド映画「過去作品」という大海に潜ることにしましょうか。

【Jawaani Jaaneman】

監督:ニティン・カッカル Nitin Kakkar
出演:サイフ・アリー・カーン、アラーヤー・ファーニチュアワーラー、タッブー

2020年1月31日公開

トレイラー

ストーリー
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ロンドンに住む「ジャズ」ことジャスヴィンデル(サイフ・アリー・カーン)は家族経営の不動産業者で働きつつ、もう40歳になるにもかかわらず独身生活を謳歌している。そんなジャズの前に突如現れた若い女性ティア(アラーヤー・ファルニチャルワーラー)は「33.3%の確率」で自分はジャズの娘だと主張する。ティアはジャズが昔関係を持ったアナニヤー(タッブー)の娘だった。突然の「娘からもしれない」女性の出現に焦るジャズは「自分の娘とは限らない」と突っぱねるが、結局DNA検査を受けることに。果たして結果は?
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サイフ・アリー・カーン主演の限りなくラブコメに限りなく近いコメディ・ドラマ。ふつうのラブコメではないのは主人公サイフ自身の恋愛はサブストーリーになっているためで、メインは中年の遊び人と娘を名乗る若い女性の「親子」ストーリーです。

監督はニティン・カッカル。隠れた名作【Filmistaan】(2012)(『映画の国』)、タイ映画のリメイクでこれも地味ながらよく出来た作品だった【Notebook】(2019)と、人情味あふれる質の高いドラマを作る優れた監督です。

サイフの共演は本作がデビューのアラーヤー・ファルニチャルワーラー。名前については後述するとして、女優プージャー・ベーディーの娘、つまりカビール・ベーディーの孫です。また、タッブーが特別出演(といってもかなりの大役)しています。

タイトル「Jawaani Jaaneman」は「若い恋人」の意。アミターブ・バッチャン主演【Namak Halaal】(1982)にアーシャー・ボースレーが歌う同名の挿入歌があります。

サイフ・アリー・カーンは悪役を含め(最近では【Tanhaji】(2020))幅広い役柄をこなす万能俳優ですが、確実に得意な役柄にチャラ男(ときに遊び人属性が加わる)があります。【Kal Ho Naa Ho】(2003)、【Hum Tum】(2004)、【Salaam Namaste】(2005)、【Cocktail】(2012)、【Happy Ending】(2014)など数多くありますが、最近は少なくなって【Chef】(2017)くらいでしょうか。それが【Jawaani Jaaneman】ではかなり歳は食ってますが完全無欠のチャラ男。それが作中での恋愛を経て目覚めるのはボリウッド・ラブコメの、そして特にサイフにとってはおあつらえ向きの王道ストーリーなのですが、本作はそれが恋愛相手ではなく「娘?」の登場という変則版です。

「娘?」ながら本作のヒロインであるアラーヤー・ファルニチャルワーラーは好演でした。まずは非常にキュートでタイトルの「若い恋人」にぴったりです。また、父かもしれない男性に初めて会うのに物怖じしないちょっと不思議ちゃんなところと、自分の妊娠や親しくなった老女との約束などで見せる一途なところとを合わせ持つ魅力的なキャラクターになっていました。

ストーリーも「娘?」の登場でうろたえるチャラ男に、少し後には「娘?」の母であるタッブー演じる超変人の女性や同じく変人のティアの恋人が登場し、コメディが進んで行きます。同時に、主人公が仕事として進めるある土地の買収に関するエピソードがドラマとして展開し、最後にはそれが合わさって結末を迎えるという作りは、サイフ出演作を含めた2000年代ボリウッドの秀作ラブコメの手法を見事に踏襲しています。

一昔前のラブコメ風を楽しむのも良し、サイフの齢の取り方を見るのも良し、フレッシュなアラーヤーに注目するも良し、いろいろな楽しみ方ができる作品です。

音楽
「Ole Ole 2.0」

サイフが自分の代表曲をセルフ・カバー。

もとはこれ。サイフ、さすがに若い。
【Yeh Dillagi】(1994)から「Ole Ole」

 

「Bandhu Tu Mera」

「Gallan Kardi」

 

サイフ・アリー・カーン  ジャスヴィンデル「ジャズ」シン役
序盤の遊び人での暴れっぷりも良ければ、後半の迷いっぷり、悩みっぷりもいいです。ネットフリックス『聖なるゲーム』(Secred Games)の真面目警官、【Tanhaji】(2020)の悪役に続いての本作。スターがようやくスランプを脱して調子を取り戻したようです。

 

アラーヤー・ファルニチャルワーラー  ティア役
カビール・ベーディーの孫、プージャー・べーディーの娘で本名はアーリヤー・ファルニチャルワーラー(苗字は父の姓)。本人によるとベーディー姓を名乗ることは考えなかったし、名前はアーリヤー・バットと被るのを避けるために変えたのだそうです。デビューで妊婦を演じる女優は少ないと思いますが好演でした。今後も楽しみです。

 

タッブー  アナニヤー役
特別出演ということですが存在感は抜群。元ヒッピーで現在もスピリチュアル系の変わり者ぶりは、チャラい遊び人サイフを凌駕します。

 

 

 

 

『聖なるゲーム』で印象的なクックー役のクブラー・サイトが主人公と微妙な距離にある女性の役でこちらも良かったです。

本作でアラーヤー演じるティアの職業はオランダ語と英語もしくはヒンディー語の翻訳家。インド映画では意外と珍しいような気がしますがどうでしょう。

【Jawaani Jaaneman】
サイフはやっぱりチャラ男じゃなきゃという人、ファルニチャルワーラー(家具屋)という名前も本人もどっちも気になる人、またまた強烈なタッブーを見たい人、おすすめです。

【Street Dancer 3D】

監督:レモ・デスーザ Remo Dsouza
出演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァ、アパールシャクティ・クラーナー、ノーラー・ファテーヒー

2020年1月24日公開

トレイラー

ストーリー
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サーヘジ(ヴァルン・ダワン)はロンドンに住むインドからの移民で他のインド人たちとダンス・チーム「ストリート・ダンサー」を結成して活動している。一方、同じ地区に住むイナーヤト(シュラッダー・カプール)はパキスタン移民のダンス・チーム「ルール・ブレイカーズ」に所属しているが、両グループはなにかと反目し合っている。

両グループともストリート・ダンス・コンテスト「グラウンド・ゼロ」への参加を決めるが、サーヘジは恋人のミア(ノーラー・ファテーヒー)が所属する名門チーム、ロイヤルズにからの誘いを受けて「ストリート・ダンサー」を離れる。「ストリート・ダンサー」はバラバラになった状態でコンテストを迎えるが・・・
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タイトルは違いますが、ダンス映画のヒット・シリーズ【ABCD】の最新作の位置付け。【ABCD: Any Body Can Dance】(2013)、【ABCD 2】(2015)に続く第3作になるはず(おそらくタイトルは【ABCD 3】)でしたが、1、2作目を制作したウォルト・ディズニーがインドでの映画製作制作事業から撤退したため、タイトルが変更されました。しかし、監督は2作目に引き続きコレオグラファーのレモ・デスーザ。また、主演のヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァやダンス・チームのメンバーなどはすべて2作目から連続出演です。

主役以外は(1作目は主役も)全員ダンサーということからもわかるように、完全にダンスが主でストーリーは従といった感じのダンス映画シリーズですが、3作目の本作はダンスとストーリーが主従逆転とまでは行かなくとも、ダンスだけではないと言える程度には考えられたストーリーでした。

3作目で特徴的なのは、舞台をムンバイ(2作目はアメリカに旅行)からロンドンに移し、出演者をインド移民とパキスタン移民の2つに分けたことです。そして最後にはインドとパキスタンが協力してダンス大会に挑むという構図ですが、現実世界でインドとパキスタンの関係がこれだけ悪化している中ではそれだけで大胆な設定です。

もう1つは移民問題を直接扱うサブ・ストーリーが効いています。アパールシャクティ・クラーナー演じるインド移民がサブ・ストーリーの中心で非常に印象深い役でした。そしてサブ・ストーリーが最後にメイン・ストーリーと合流するところは見事でした。

もちろんダンス映画なのでダンス・シーンは見応え十分。前作と比べても、1) 「俳優枠」のヴァルン、シュラッダーのダンスが上達している、2) いまのボリウッドのダンス・クイーン、ノーラー・ファテーヒーが参加、3) プラブデーヴァーががっつり踊るということで明らかにパワーアップしています。

シリーズになると思われていなかった1作目のニッチな作りから、次第にメジャー路線へと進化してきました。ただのダンス映画と侮ると損をする快作でした。

音楽
「Bezubaan」のようにシリーズのタイトルソングのような曲は別にして、多数ある曲のほとんどが何かのリメイクというのは問題ではないでしょうか。「Muqabla」は出演者プラブデーヴァの出演作、タミル映画【Kadhalan】(1994)から同名曲のリメイク。「Lagdi Lahore」は人気歌手グル・ランダワーの大ヒット曲「Lahore」のリメイク。「Illegal Weapon 2.0」はタイトルからもわかるようにパンジャービー・ソングからのリメイクです。制作が音楽ブランド「T-シリーズ」だからというのがあるとは思いますが、このリメイク流行りはインドの音楽関係者からも批判が出ています。

「Muqabla」

元はA.R.ラフマーンの作曲。

「Illegal Weapon 2.0」

「Bezubaan Kab Se」

シリーズ1作目からあるシリーズのテーマソング的な曲。実はこの曲には雨が欠かせないのですが、3作目は屋内でのダンス。どうして雨が降っているのでしょうか?

 

ヴァルン・ダワン  サーヘジ役
本作でのヴァルン・ダワンのキャラクターはあまり魅力がないのですが(前作でもさほど)、ダンスはすごいです。よくここまでトレーニングを積んだと感心しました。

 

 

 

シュラッダー・カプール  イナーヤト役
前作では「シュラッダーって踊れるんだ」となりましたが、本作ではさらにパワーアップ。キャラクターとしてもサブストーリーである移民の問題にいち早く関わったりと中身のある役でした。

 

 

 

プラブデーヴァ  ラーム役
誰もが認める名ダンサーのプラブデーヴァですが、1、2作目では若いダンサーたちの先生で、自らはあまり踊りませんでした(1曲程度)。しかし、本作では主演のチームに参加して踊るなどある意味で反則。アクロバティックなところでは若い人には敵いませんが、それでも見せるダンスとしては格が違いました。

 

ノーラー・ファテーヒー  ミア役
アイテム・ソングでダンス・クイーンにのし上がり、とうとうダンス映画に出演するというノーラーは、彼女自身がダンス映画の主人公のようです。ただし、本作での役はタイプ・キャストに近いものであまり良くありませんでした。

 

 

アパールシャクティ・クラーナー  アムリンデル役
すでに名脇役俳優になりつつあるアパールシャクティですが、本作では主役といってもいいかもしれません。エンディングでは完全に主役待遇でした。

 

 

 

【Street Dancer 3D】、おそらく続編が作られるのは間違いないでしょう。しかし、そのときに困るのはタイトル。果たして「4」を入れるのか、「2」にするのか。

【Street Dancer 3D】
プラブデーヴァの踊り全開を観たい人、室内に雨を降らせる力業を見たい人、アーパルシャクティの最強脇役を見たい人、おすすめです。